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第9回 パーソナリティースタイル(4) 反社会スタイル
今回のお話は、「反社会」という名前のついたパーソナリティ・スタイルについてです。個人的には、私自身、とても馴染みがあり、親しみのあるスタイルです。
反社会というのは、英語では「anti-social」。社会、あるいは対人関係において「独立的である」という意味で「反」という言葉が使われています。ある調査によると、会社経営者の内の6人に一人は、この反社会性がかなり際立っているとか。またスポーツの世界では、トップアスリートに多いスタイルだと考えられます。どういうパーソナリティの側面を指すものか、想像がつくでしょうか。
このスタイルは、貪欲にお金や名誉を求めることに最大の特徴があります。これだけですと、なんだか俗っぽいものに聞こえるかもしれませんが、それだけのものではありません。
人は誰もがこういったものを求める欲求を持っています。確かに、時にはこういった欲求が一人歩きしてしまい、自分の中の「やっかいな」欲求になってしまうこともありますし、あまり過度にこのスタイルに頼りすぎることになりますと、周囲の人からは「ガツガツしていて人のことを考えなくて付き合いにくいやつ」なんてことになってしまうこともあります。
しかし、パーソナリティ全体の中で、このスタイルが他のパーソナリティ・スタイルとともにバランスよく適切に機能していると、人は自分の目的のために貪欲に力強く、逞しくいることができるのです。ですから、何らかの目的意識をもつ人にとって、非常に重要なパーソナリティ・スタイルの一つであると云えるのです。
私自身は、サイコセラピストとして働いていますが、初めてお目にかかる人からはたびたび「何を話しても優しく耳を傾けてくれるような、穏やかな人に違いない」と思われたりします。もちろん心が穏やかで心の広い人でありたいとは思っていますけれども、実際のところ、そういうやさしい人間だからサイコセラピストを目指したわけでも、サイコセラピストとして働けているわけでもありません。どちらかといえば、自分が人を愛し続けることがなかなかに難しく、この仕事につくためのトレーニングを受け始めた頃から、今に至るまで、自分の中の愛情を上手く取り扱うことができずに四苦八苦してばかりいます。
そんな中で私が一流のサイコセラピストになりたいという大きな野心的目標を掲げることから逃げずに、目標を置き続ける事を支えているのが、この「反社会」スタイルであると私は思います。私がサイコセラピストとしてお会いする方たちは、何らかの問題や危機に今まさに直面する方であったり、あるいは「危機」と呼ぶことが出来るくらいの厳しい現実の中に生きている専門職の方だったり、自分を変えようという勇気ある目標をもって来談する方であったりします。そのそばに相棒として居続けるセラピストは、意志をもってそれらの目標に直面していくサイコセラピーという処方の中で、一緒に目標を達成しよう、そのために邪魔になる自分の問題に目をそらさず直面しよう、とする野心的なエネルギーがあるからこそ専門職としてプロの仕事ができるのです。
さて、このパーソナリティ・スタイルはどのように発達するのでしょうか。これは過去のコラムでお話したパーソナリティ・スタイルよりももう少しいろいろなことが関わってくるので、簡単に言うことはできません。しかしここまでのコラムを連続してお読みいただいている方には、以前にお話しした「覇気」のエネルギー」との関連を思い起こされるのではないでしょうか。
その際に覇気の発達に関しては簡単に触れましたのでここでは繰り返しませんが、この「反社会」スタイルが他のパーソナリティ・スタイルとともに適切に機能する姿は、「覇気」に近いものがあります。「反社会」スタイルそのものの発達ではありませんが、このスタイルが上手く機能する姿の一つとして、「覇気」の発達を改めてぜひ読み返してみて下さい。
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